デントリペア工法とは?
デントリペア工法とは、車にできた「キズのないヘコミ」を、従来の鈑金塗装のようにパテ付けや再塗装することなく修理する工法。正式名称は、「塗装をせずにヘコミを修理する」という意味で「ペイントレス デント リペア」または「リムーバル」と言います。
ヨーロッパの自動車メーカーで考案され、雹(ひょう)の降ることが多い欧米で、雹の被害にあった車「雹害車(ひょうがいしゃ)」を修復するのに適しているということで発展してきた新世代の自動車外板修理工法です。
Before | After |
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デントリペア工法の理論は特殊専用工具(デントツール)を使い、ミリ単位の精度でボディー鋼板の裏側を数多く、細かく押し潰すことによって微細な凹凸を作り、ボディー鋼板表面積を「絞る」ことにより元の状態に復元させます。
- デントリペアと鈑金塗装の比較
- デントリペア工法では、従来の鈑金塗装工法で不可欠であった「パテ付け・再塗装・乾燥」などの時間を要する作業は一切不要。新世代の合理的な技術として「低価格・時間短縮・高品質」を、お客様に安定して提供することが可能になりました。
デントリペアのメリット
- オリジナルの塗装を生かせるため作業時間が少なく済む
- 経験豊富な技術者が手掛けた仕事では修復跡がほとんど分からない
- 車の売却時に有利になる
- 塗料やパテなどの材料を一切使用しないため環境にやさしい
デントリペア工法の問題点
やり直しのきかないデントリペア工法には、メリットだけではなくリスクも存在します。
現実問題として、大きく分けて下記4パターンの技術者全てが「デントリペア業者」として活動している現状があるからです。
- 鋼鈑パネルを「絞る」技術力が証明されている技術者(ライセンス試験合格レベル)
- 技術力が証明されていない技術者(ライセンス試験に合格しないレベルか、力量が不明)
- 経験値が豊富な技術者=長年この業界に専門技術者として従事している方
- 経験値が未熟な技術者=この業界に携わって間もない方、独学に等しい技術レベルの方、専門的に携わっていない方
すべての専門職に共通することですが、それぞれの技術者が持つノウハウや経験値の差で仕上がりに圧倒的な違いが生じてしまうのです。「昔も、今も、これからも」果たして「プロとしての本来の技術」が、ユーザーへ提供出来ているのかが、この業界の永遠のテーマなのです。
デントリペア事業の将来性
ボディー素材の変化
最近では車の軽量化に伴い、車体に使用されるパネル素材にも大きな変化が見受けられるようになりました。軽量化による燃費向上対策の一環として、薄くても強度があり尚且つ軽くできる「超高張力鋼板やハイテン鋼、アルミ素材」などを多用するようになり、鈑金作業工程の中にも「加熱による素材の変化」でご苦労なさっている技術者さまの声も度々耳にするようになりました。国産車を多く取り扱っている業者さまでは、尚のことでしょう。 デントリペア工法も同様に「素材の変革」による物理的なものの影響が無くはありませんが、「加熱を必要としない工法」という利点から「入熱による歪みの拡大や波及」の心配が無いとのことで、近年では鈑金業者さまより通常のデントリペア作業以外にもパテ付け範囲を最小限に留めるための「粗出し作業」や「パテ付け修理後の最終歪み除去」などのご依頼も確実に増加傾向にあります。
保険制度の改定によるエンドユーザー層の拡大
近年の自動車保険制度の改定により、自己負担による修理の場合には「実費での修理で、なるべく安価に修理したい」と考えているエンドユーザー様からのお問い合わせが確実に増えてきました。また、ここ数年毎年のように起きている「降雹災害」などの影響でしょうか、「デントリペア工法」の知名度が急速に普及してきていることも実感できます。これまでは自動車外板修理といえば鈑金塗装をイメージしていたエンドユーザー層ですが、お客様の選択肢が増えている昨今ではGSなどで行える軽鈑金やデントリペア工法、更には中古部品での交換修理などにも更に注目していくことは必至と考えます。